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亡くなった方が韓国国籍の場合
被相続人が韓国人の場合、相続の準拠法は韓国法となります。
ただし、法的に有効な遺言書に「相続の準拠法として日本法を適用する」と記載がある場合には、日本の民法に従って相続手続きを進めることになります。
なお、韓国人の方が作成した遺言書は韓国の方式はもちろん、日本の方式で作成した遺言書も有効となります。韓国の方式による遺言書は録音やビデオも認められているところが日本の遺言書との大きな違いと言えます。
相続人の確定
在日韓国人の方が亡くなった場合には、下記の書類によって相続人の確定を行います。
- ①亡くなった方の出生から2007年までの戸籍(韓国)
- ②亡くなった方の基本証明書・家族関係証明書・婚姻関係証明書・入養関係証明書・親養子入養関係証明書(韓国)
- ③亡くなった方の住民票の除票(日本)
- ④日本国籍の相続人の戸籍謄本・住民票(日本)
- ⑤韓国国籍の相続人の基本証明書・家族関係証明書(韓国)
- ⑥韓国国籍の相続人の住民票(日本)
法定相続人
韓国民法での法定相続人は下記のとおりです。
第一順位 | 配偶者+直系卑属 |
---|---|
第二順位 | 配偶者+直系尊属 |
第三順位 |
兄弟姉妹 ※被相続人に配偶者がいる場合には法定相続人とはならない。 |
第四順位 |
四親等以内の傍系血族 ※被相続人に配偶者がいる場合には法定相続人とはならない。 |
日本民法との大きな違いは被相続人に子供も直系尊属もいない場合には、配偶者が単独で財産を相続することができる点です。
法定相続分
韓国法では配偶者の法定相続分は他の相続人の1.5倍とされています
法定相続人の構成 | 法定相続分 |
---|---|
配偶者+子供1人 | 配偶者1.5子供1 |
配偶者+子供2人 | 配偶者1.5子供1子供1 |
配偶者+子供3人 | 配偶者1.5子供1子供1子供1 |
配偶者+父母 | 配偶者1.5父1母1 |
兄弟姉妹 | 配偶者がいない場合のみ相続 |
四親等以内の傍系血族 | 配偶者がいない場合のみ相続 |
韓国在住の相続人がいる場合
相続人の中に韓国在住の方がいる場合であっても相続手続きに大きな違いはありません。
通常の相続の場合、遺産分割協議書に相続人全員が署名し、実印を押印します。
韓国では満15歳以上で、在大韓民国日本国大使館に在留届を提出済みの方に限り印鑑登録を行うことができます。韓国での印鑑登録をしている方は印鑑証明書を使用し、印鑑登録していない方についてはサイン証明を取得することになります。
日本在住の韓国人が作成する遺言書
日本に住む外国籍の方が遺言書を書くメリット
日本の不動産や預貯金、株式等をお持ちであれば遺言書を作成することを推奨します。
遺言書を作成することで外国法の調査や相続人であることの証明が不要になるため、円滑な相続手続きを実現することができます。
遺言書がない場合には下記のような手間が発生します。
- ①準拠法が外国の法律である場合には外国の法律の調査が必要となります。
- ②準拠法が日本の場合であっても相続人間の遺産分割協議が必要となります。
- ③外国には戸籍がないことがほとんどで、相続人の確定に時間がかかります。
どこの国の法律に基づいて遺言書を作成するべきか
日本では下記のいずれかに従っていれば有効な遺言書とされます。
- ①行為地法(遺言書を作成した場所の法律)
- ②国籍法
- ③住所地法または常居所地法
- ④不動産に関する遺言についてはその不動産の所在地法
つまり、ほとんどの外国遺言は有効とされますが、実務上は日本の財産については日本の民法に基づいた方式によって作成することを推奨します。
これは実際の相続実務において、法務局は比較的円滑な対応が可能ですが、金融機関によっては外国遺言に不慣れで、何度も本部への確認が行われるなど通常以上に時間がかかる場合があるためです。
公正証書遺言作成時の本人確認
在留カード(外国人登録証明書)、特別永住者証明書、パスポートなどで確認します。