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国際相続は非常に難易度の高い業務、かつ、特殊な税務処理を伴いますので
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亡くなった方がアメリカ国籍の場合
被相続人がアメリカ人の場合、相続の準拠法は米国50州のうち「最も密接な関係がある」州法が本国法となります。ただし、日本の不動産については所在地である日本法が適用されます。
この場合、日本の不動産の相続登記(名義変更)をするためには相続人であることを証明する必要がありますがアメリカには日本のような戸籍制度がありませんので出生証明書、死亡証明書、婚姻証明書等に加えて、「ほかに相続人が存在しない」旨の宣誓供述書(米国公証人の認証を添付)を用意することになります。
アメリカ在住の相続人がいる場合
相続人中にアメリカ在住の方がいる場合であっても相続手続きに大きな違いはありません。
通常の相続の場合、遺産分割協議書に相続人全員が署名し、実印を押印します。しかしながら、アメリカ在住の方については日本の印鑑証明書が発行されませんので、現地の日本領事館等でサイン証明書を発行してもらう必要があります。
アメリカ在住の相続人が注意すべきこと
IRSへ相続財産の報告
米国居住者が米国の非居住者(日本人等)から10万米ドルを超える財産を相続・贈与により取得した場合にはIRS(米国内国歳入庁)への報告が義務付けられています。
上記報告は連邦所得税申告時にForm1040関連書類等とともにForm3520を報告義務が生じた年の翌年4月15日までに提出します。
なお、申告不履行や遅延がある場合には1万米ドル以下の罰金が科されることがありますので注意が必要です。
IRSへ国外金融資産の報告
独身の場合、国外金融資産の合計残高が年度内に7万5,000米ドル超または年末に5万米ドル超の場合にはIRS(米国内国歳入庁)への報告義務があり毎年4月15日までにForm8938の提出が必要となります。
なお、報告漏れがあった場合には6万米ドル以下の罰金が科されることがありますので注意が必要です。
※夫婦合算申告であれば上記金額の倍額を超える場合に報告義務が生じます。
米国財務省へ国外金融資産の報告
米国外の金融機関で所有する金融資産の年度内最高残高が1万米ドルを超える場合には米国財務省に口座情報を報告するFBAR(Report of Foreign Bank and Financial Accounts)という制度があり毎年4月15日までに米国財務省へFinCEN Form114を提出します。
なお、意図的ではない報告漏れは1万米ドル以下の罰金、意図的な隠蔽は10万米ドルまたは総資産残高の50%のいずれか大きい金額以下の罰金が科されることがありますので注意が必要です。
日本在住のアメリカ人が作成する遺言書
日本に住む外国籍の方が遺言書を書くメリット
日本の不動産や預貯金、株式等をお持ちであれば遺言書を作成することを推奨します。
遺言書を作成することで外国法の調査や相続人であることの証明が不要になるため、円滑な相続手続きを実現することができます。
遺言書がない場合には下記のような手間が発生します。
- ①準拠法が外国の法律である場合には外国の法律の調査が必要となります。
- ②準拠法が日本の場合であっても相続人間の遺産分割協議が必要となります。
- ③外国には戸籍がないことがほとんどで、相続人の確定に時間がかかります。
どこの国の法律に基づいて遺言書を作成するべきか
日本では下記のいずれかに従っていれば有効な遺言書とされます。
- ①行為地法(遺言書を作成した場所の法律)
- ②国籍法
- ③住所地法または常居所地法
- ④不動産に関する遺言についてはその不動産の所在地法
つまり、ほとんどの外国遺言は有効とされますが、実務上は日本の財産については日本の民法に基づいた方式によって作成することを推奨します。
これは実際の相続実務において、法務局は比較的円滑な対応が可能ですが、金融機関によっては外国遺言に不慣れで、何度も本部への確認が行われるなど通常以上に時間がかかる場合があるためです。
公正証書遺言作成時の本人確認
在留カード(外国人登録証明書)、特別永住者証明書、パスポートなどで確認します。