注意点その③ 相続税の見積もり
遺言書を作成するうえでは「誰に何を相続させたいか」も重要ですが、どのような税金がどのくらい発生するのかまで検討することが必要です。
自分で書いた遺言書や銀行、弁護士が作成した遺言書でよく見かける失敗例が「税金上、損をしている」ケースです。もちろん、税金上の損得が遺言書のすべてではありませんが、税金上の損得を考慮したうえで遺言書を書いた方がより良いでしょう。
例えば、小規模宅地等の特例(居住用)について言及すれば、330㎡まで80%減額した評価額で相続税を計算することができますが、適用要件を満たさない方に相続させてしまっては相続税の負担が大幅に増える結果となってしまいます。
また、相続税には「配偶者の税額軽減」という制度があり、この制度を使えば亡くなった方の配偶者は法定相続分又は1億6千万円のいずれか大きい金額まで相続税が非課税で財産を承継することができます。
しかしながらこの制度は一次相続の相続税が安くなっても、二次相続の相続税が高くなるというデメリットがあります。
実際に税金で損をしているケースの一例をご覧ください。
配偶者が法定相続分を
相続する遺言の場合
配偶者が何も
相続しない遺言の場合
財産の状況に応じて変化しますが、この事例から分かることは一次相続で配偶者は何も相続しないもしくは法定相続分より少ない金額を相続した方がトータルの税金が安くなることがあるということです。
「税金が安くなるのであれば、そちらの方法にしたい」
「税金が高くても、こちらの方法にしたい」
より納得のいく形で遺言書を作成するために相続税のシミュレーションを行ったうえで遺言案を決定することをお勧めします。